1. HOME
  2. ブログ
  3. 酒「晴好 HARUYOSHI 04」ストーリー「みいの寿」編 

WALK

プロジェクト

酒「晴好 HARUYOSHI 04」ストーリー「みいの寿」編 

はるよしのオリジナル日本酒を造る、酒「晴好 HARUYOSHI」プロジェクト。福岡のいろいろな酒蔵の魅力を知ってほしいという想いから、各回パートナーとなる蔵元が変わりバトンを受けついでいくのが大きな特徴です。

これまで、うきは市の「磯乃澤」、朝倉市の「篠崎酒造」、筑紫野市の「大賀酒造」と一緒に、酒「晴好 HARUYOSHI」シリーズを生み出してきました。そして今回4蔵目のパートナーとなってくれたのが、三井郡大刀洗町にある「みいの寿」です。

美田が広がる町から、世界へ美酒を届ける

見渡す限りの筑後平野に包まれた、のどかな田園風景が広がる福岡県三井郡大刀洗町。3つの湧水に由来して「三井郡」と名づけられたことからも分かるように、美しい清流に恵まれたエリアです。大刀洗町は三井郡唯一の町村で、最近では「街の幸福度ランキング2023」の九州・沖縄版で1位に選ばれたことでも話題になりました。「すごく静かな町で、福岡市にも1時間程度で通勤・通学でき、ちょうどいい田舎なところが気に入っています」と話すのは、この町で生まれ育った井上宰継さん。みいの寿の四代目であり蔵元杜氏を務めています。

代表を務める井上宰継さん

元々は米問屋だったというみいの寿。近隣には酒造りが盛んな久留米市城島地区があり、地域の酒蔵などに米を卸していましたが、1922年に酒造免許を得て自らも酒を醸すようになりました。目の前に流れる小石原川の豊かな伏流水を用いて、現在では年間千石(一升瓶で10万本)もの量を製造しているそうです。

代表銘柄として知られるのは「三井の寿」。バスケットボール漫画「スラムダンク」の天才シューター・三井寿のオマージュラベルでも話題となりましたが、日本のみならず海外からも高い評価を得ている銘酒です。

テロノワールに魅せられ、福岡でいち早く純米酒に特化

全生産量の99%が純米酒(※)であることも、みいの寿の特筆すべきポイント。

「福岡市とボルドーが姉妹都市を締結した1977年、先代である父が現地視察に同行したのですが、そこでワインを造りの「テロワール」の考え方に感銘を受け『日本酒造りもこうあるべき』と思ったそうです」と井上さん。

テロワールとは、簡単に言えば「土地の個性」を意味する言葉。地域の自然環境や原料の特性を活かした酒造りをしようと、普通酒の製造を止めて純米蔵へと舵を切る英断でした。今も鑑評会出品用の大吟醸なども造りますが、その量は全体のわずか1%ほどだと言います。

※純米酒:醸造アルコールを添加せず、米、米麹、水だけで造られる日本酒。米本来の旨みをしっかり感じられるのが特徴

純米酒という括りのなかでも、香りの高いものから、味の濃いもの、熟成種、酵母無添加など、ラインナップの幅広さも特徴。「料理のフルコースのスタートからラストまですべてカバーできるようなお酒を造っています。ただひとつ共通点として言えるのは、最終的な味のキレがいいということ。どちらかというと酸を大切にしているので、後味がスッキリとして軽快な酒が多いと思います」。

酒造りは「科学とセンスと情熱」で

井上さんは民間企業に就職後、27歳の時に家業を継ぐために蔵へ戻りました。そのタイミングで蔵人も多く入れ替わったため、先生となる方を招いて指導を仰ぎつつ、若いスタッフが中心となって試行錯誤しながら酒造りに取り組んでいったのだそう。「その頃の杜氏や蔵人には若手がほとんどいなかったので、とても珍しかったと思います。酒造業界のSMAPなんて言われたくらいですよ(笑)」。知識も経験もまだ浅い中で、ともすれば蔵を継ぐ重責に押しつぶされそうですが、井上さんは「自分のやりたい酒造りができるという期待の方が大きかった」と言います。

それまで酒造業界で「常識」とされてきたことにも疑問を呈し、そんな状況だからこそできる新しいことにもどんどん挑戦していきました。

「無学論に屈せずかもしれませんが、酒造りにおいて『なぜこういうやり方なのか』と聞いても、理由が明確でないことが多々あったんです。だから本当に必要なことなのかひとつひとつ判別し、自分なりの研究を重ねていきました」。美味しいと思った酒蔵には積極的に足を運び、いいと思うことは取り入れながら研鑽を積む日々。

麹から造り方を変えたり、ワイン酵母を使った酒や幻の酒米「三井神力」を復活させた純米大吟醸などを手掛けたり、斬新な発想で「楽しみながら」酒造りに取り組む井上さん。そのモットーは「科学とセンスと情熱」だと言います。「『化学』ではなく『科学』。科学の中には化学も人間学も自然学も含まれているからです。あとはひらめきを生むセンスと、おいしい酒を造りたいという情熱ももちろん欠かせません」。

その言葉の真実味は、井上さんが蔵元杜氏になって以来、全国新酒鑑評会の入賞率が9割5分を誇っていることからもよく分かります。

初の組み合わせに挑んだ、酒「晴好」04

酒「晴好」03を担った大賀酒造からバトンを受け取り、酒米の田植えや秋の稲刈りにも参加して、この1年間我々と共に酒造りに取り組んでくれました。はたして、みいの寿が手掛ける04はどのような酒に育ったのでしょう。

「はるよしの町が手掛けるお酒で、酒米も糸島産なので、福岡にこだわった酒にしたいと思いました。そこで福岡県の特許酵母『夢酵母』を選び、食事に合う味あるお酒を目指して醸しました。この酵母はリンゴ酸高生産性酵母というもので、リンゴと同様に冷やすとスッキリ、少し温度を上げると甘みがでる特徴があります。みいの寿でも、夢酵母と酒米「山田錦」を組み合わせるのは初めての試みだったので、とてもワクワクしました」。

まだ蔵のタンクで醸造中だった「晴好」03に挨拶した時、その芳醇かつ優しい香りに一瞬で魅せられ、「なんて素敵に育ってくれたんだろう」と感動したのを覚えています。たくさんの人が携わり、ようやく形になったこのお酒。ぜひみなさんにも味わっていただきたい、心からそう思っています。

SNSのフォローはこちらから イベント情報などをアップしています!

関連記事