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酒「晴好 HARUYOSHI」ストーリー Vol.1  NPO法人はるよし 編

酒の席で生まれた、酒づくりプロジェクト

「なんでかよく覚えとらんのやけど、気づいたら…かたっとった(参加してた)」。NPO法人はるよし(旧:晴好実行委員会)のメンバーには、こういう人が実に多い。

 福岡市中央区、天神と博多を結ぶ“福岡第3の軸”となる町・春吉を中心に、春吉小学校校区となる渡辺通り・清川・西中洲・高砂・薬院・住吉を「はるよし(晴好)」エリアと定義し、町を魅力づけていこうと奔走することかれこれ17年。商店や飲食店のスタッフ・事業者・住人・この町を好きな人たちが自主的に集まって、祭りやワークショップなどさまざまな活動を行ってきた。2019年には晴れてNPO法人となり、さらにプロジェクトの幅を広げていこう、と意気込んでいる最中である。

 各人の参加の理由はどうあれ、メンバーの大多数は、「全力で楽しむこと」と「酒の席」を愛している。その想いを満たせる事がこのコミュニティの魅力であり、引き込まれる理由と言って過言ではないかもしれない。真面目な会議の後はたいてい恒例の飲み会へとなだれ込み、そこでもさまざまなアイデアや想いを共有する。沖縄の南風原町と交流を深め「勝手に姉妹都市」を締結したり、劇団を旗揚げして本当に公演をやっちゃったり、けっこうな全力具合で楽しんでいるのだ。

2020年1月に第2回公演を行った劇団晴好

 そして「はるよしオリジナルの酒を造ろう」という構想もまた、酒の席での思い付きであり、本気の試みのひとつなのである。

だって、はるよしも福岡も、お酒も好きなんだもの。

 私たちの活動の中で、継続的に続いている代表的なものとして、毎年5月に開催する「晴好夜市」というお祭り、そして春と秋の年2回開催している「晴酒はしご」がある。「晴酒はしご」は、はるよしエリアの飲食店と福岡の蔵元がコラボし、スタンプラリーを楽しみながら食と酒を満喫できるイベントで、開催期間中は参加証を片手に町をそうつく(うろつく)人たちが夜な夜な出現し、町を賑わしてくれる。

 そもそも福岡は全国有数の酒処。県内には50を超える酒蔵があり、「晴酒はしご」にも数多くの酒蔵さんが協力してくれている。その一方で、日本酒の国内出荷量は年々減少しているという現実があり、酒業界にとっては大きな課題だと耳にした。それならば、微力ながらもイベントとはまた違う形で私たちにできることはないだろうか。しかも、みんなが楽しみながら参加できるような形で。興奮と酒で頬を赤らめながら話し合い、妄想はどんどん膨らんでいった。

 もちろん、「はるよし」の事を知ってもらいたい、そして遊びに来てもらいたい、という欲も少なからず(いや、かなり…)ある。このエリアにはこだわりの強い飲食店がひしめいていて、食レベルの高さはお墨付き。だったら、この美食の町「はるよし」に似合う素敵な酒を、福岡の酒蔵と一緒に作ってみてはどうだろう。米ももちろん福岡産にこだわって、田植えだって稲刈りだって手伝うのだ。 メイドイン福岡のはるよしの酒。想いを巡らせていたら、ワクワクが止まらなくなった。

多様性のある美食のまちに似合う酒を。

 「たとえば、酒米は同じで酒蔵を毎年変えてみる。一期一味、その年だけの味わいがあっても面白いのではないだろうか」。

 飲み手としての単純な発想で生まれたコンセプトは、酒業界の常識では無謀なものだと、後で気づくことになるのだが…。それでも、はるよしに、和食・フレンチ・イタリアン・中華…と多彩なジャンルの食があるように、お酒も多様性や変化を楽しみたい。毎年「今年はどんな酒が生まれるのかワクワクする」、その気持ちをみんなで共有したい。だったらもう、やってみるしかなかろうもん。決意は固まった。

 とはいえ、まずは初作品をつくることである。思いだけは高まるが、果たして協力してくれる酒蔵や米農家がいるだろうか。夢物語で終わりたくない、と各所に相談を持ち掛け奔走するなか、突然射しこんできた2つの光。糸島の米農家・濱地さん、そして、うきは市の酒蔵「いそのさわ」の高木さんから「一緒にやりましょう」という有難き言葉を受け取ったのだ。

晴好の酒

 後光が差すほど眩しかったその出逢いについては、のちに続く記事でご紹介させていただく。

Vol.2  米農家・濱地一好さん編

Vol.3  酒蔵「いそのさわ」・高木亮三郎さん編

はるよし×糸島の酒米×福岡の酒蔵

 当初2020年からのプロジェクト始動を想定していた私たちだったが、素晴らしい協力者との出逢い、かつ、類まれなノリの良さに恵まれ、2019年、ひとまず実現可能性を模索するために急遽プレ版を造ってみようという事になる。

 そこでNPOメンバーを中心に、糸島の田園で6月に田植え、10月には稲刈りを行った。酒についても「どんな味がいいか」「どんなデザインにするか」、何度も話し合いを重ね、イメージを固めていく。初めての事で戸惑いも多い中、試行錯誤の末になんとか醸造までたどり着くことができた。

 そうして2020年初春。ごく少数生産ながら、ようやくVol.0の酒「晴好」ができあがった。タンクの中で輝きを放つ液体と対面した時は、このまま全部飲み干してしまいたいほどの感動に酔いしれたものだ(酒の香のせいではない)。制作には、デザイナーやフォトグラファーをはじめ、プロジェクトに共感してくれるたくさんの人の力があり、みんなの想いが詰まった酒である。それだけで、もう美味しいこと間違いない。

いよいよ本格始動!

 プレ版ながら、僅かだが一般販売もするし、はるよしの飲食店で味わっていただける機会もあると思う。この日本酒「晴好 HARUYOSHI」が、酒の席を盛り上げる要素のひとつになれば嬉しいし、日本酒に関心を持つきっかけになってくれたらありがたい。誰と飲むか、どこで飲むか、どんな食事と合わせるか。それによって、お酒の印象は変わるだろうし、それでいいと思う。この酒と共にある時間を、ただ楽しんでもらえたら。

  

 そしてこれからが本格始動。Vol.1 もプレ版同様のチームで米からの酒造りをスタートするが、できるならたくさんの人に、この「晴好 HARUYOSHI」ができる過程を見守り、見届けていただけたらと思っている。SNSでの情報発信をしながら、人数限定ではあるが田植えや稲刈りなどのイベントにも参加を呼び掛けていく予定だ。これからはじまるストーリーを、みなさんと一緒に紡いでいきたい。 どうぞよろしくお願いします。

NPO法人はるよし

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Instagram  sake_haruyoshi

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