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酒「晴好 HARUYOSHI」ストーリー Vol.2 米農家・濱地一好さん編

米農家・濱地一好さんとの出逢い

 愛すべき町、「はるよし」オリジナルの酒を造ろうと思い立った私たち。

酒「晴好 HARUYOSHI」ストーリー Vol.1 NPO法人はるよし編

 一緒に夢を形にしてくれるパートナー探しとして、まずは福岡の酒米農家からスタートしたのだが、実は当初から目をつけていたエリアがあった。福岡県西部に位置する糸島。美しい海と山が広がり、オシャレなショップやカフェが点在する観光地として人気。また、その豊かな自然の恵みを受けて、牡蠣や鯛の養殖をはじめとする水産業、豚などの畜産業、柑橘や野菜といった農産物栽培も盛んで、食材の宝庫としても知られている。

 山手では酒米づくりも盛んで、特に酒造好適米(※1)のエース「山田錦」栽培に力を注いでいるという。どうにかこの山田錦の作り手と繋がって、晴好の酒米をつくりたい。そんな想いを抱え、扉を叩いたのはJA糸島。そこで話を聞いてくれたのが、JA糸島の庄島正紀さんだった。

※1酒造りに適するように品種開発された米

JA糸島の庄島さん

「えらい熱意やったけんですね(笑)。断りきれんかった」。私たちの鼻息の荒さに押され、庄島さんはすぐに、ある若手農家の名前を挙げてくださった。それが、濱地一好さん。山田錦を中心に食用米や大麦を手掛ける「ノリのいい実直な青年」だという。

 そのノリの良さ、すぐに実感できた。庄島さんが電話を掛けると、作業の合間を見計らって濵地さんが、私たちの元に駆けつけてくれたのだ。

生粋の糸島生まれ、糸島育ち。

 「なんか面白そうだと思って。それに、僕が大好きな糸島に興味をもってもらえる機会になったら嬉しいし」。濱地さんは私たちの話に耳を傾け、さんざん頷いてくれた後、「まぁ、直接見てもらった方が」と、自分の田園へと案内してくれた。

 訪れてみてびっくり。その場所から見渡せる農地ほとんどが濱地さんの所有で、さらにほかの場所も合わせるとペイペイドーム8個分はあるという。それらすべてをお母様と2人で手入れしていると聞いて、さらに驚きが増した。

 「父が身体の都合で農業を引退することになり、5年前に僕が引き継ぎました。その前は小学校の先生をしていたんですけど、子どもも作物も、その育っていく様をみていくのが楽しいんですよね」と濱地さん。農家にとって繁忙期となる5~6月は、1日20時間近くもコンバインかトラクターに乗っているそうで、長距離ドライバー、いやそれ以上の体力勝負である。好きでなければできない仕事だ。

 糸島で山田錦がつくられているのは、山側の地域のみ。濱地家で山田錦を作り始めたのはお父様の代からだが、一帯には昔からたくさんの酒米農家がいるという。一般に山田錦は栽培条件が厳しいことで知られ、全国でも限られた地域でしか育てることができないのだが、この地域は寒暖差に恵まれるなど好条件が揃っている。夜に冷えることで、稲が栄養分を取り込み、米の中心部の白く濁った部分「心白(しんぱく)」がしっかりと育つ。この心白が大きいと菌糸が中まで入りやすく、いい麹ができると言われているのだ。

 そして、冷たく澄んだ山の水も糸島の宝物。豊富な水量、整った水路、米づくりに適した温度。「カリウムを多く含んだ水は、根張りをよくし、いい米ができると聞いたことがあります。恵まれた環境に本当に感謝しています」。

苦労を支えるのは、プレッシャーと誇り

 地域が限られているだけでなく、山田錦は栽培の難しい品種で、農家泣かせともいわれる酒米だ。粒が大きい上、背丈が長く茎が細いので、非常に倒れやすいのだそう。

 「倒れてしまうと品質が落ちるし、刈るのも大変なんです。そうならないように、肥料の量を調整するんですけど、加減しすぎると収穫量も減る。田んぼの水加減にも気を使いますね。ただ、それでもやはり自然災害の影響は免れないことがあります」。

 実際台風被害に見舞われ、収穫量が大幅に減少したこともあるいうが、それでも「いい米を作りたい」という意欲が濱地さんを支えている。「酒米づくりに真摯に向き合っている先輩農家さんが多く、その中でやる以上、プレッシャーはあります。でもそれに打ち勝っていきたいし、“糸島の山田錦”を背負っているという誇りがあるので」。さらなる経験を積みながら努力を続けていきたいと、笑顔で話してくれた。

できたぞ。はるよし田園

 かくして、頼もしい味方となってくれた庄島さんと濱地さんの協力を得て、「はるよし田園」を設立。6月にはみんなで田植え、10月には稲刈りを行った。翌日に見舞われた筋肉痛で、日頃の運動不足を痛感するも、自然とのふれあいは新鮮でとても貴重な体験の機会に。「泥のヌルヌルが気持ち悪い」「稲がささって痛い~」と騒ぎながら、参加者一同、終始笑顔が溢れる1日となった。

 そしてこの米が翌年には、酒蔵さんの手によって私たちのお酒になる。いったいどんな味になるのか、どんな風に楽しもうか、どんな人が呑んでくれるのか…想像しただけで楽しくなる。

「みなさんと一緒に美味しい酒を造るため、いい酒米ができるよう頑張ります。そしてできあがったお酒を呑む時に、酒米のこと、糸島のことを少しでもみなさんに思ってもらえたら嬉しいです」という濱地さん。その願いは、私たちも同じだ。味わいながら、作り手の顔や土地、ストーリーが思い浮かぶ…そんな日本酒「晴好 HARUYOSHI」になれたら、本当に最高だと思う。

 最後に、忘れちゃいけない濱地さんからのメッセージ。「本気でお嫁さん募集してます!!!」 。そちらも健闘を祈っています!

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